【チェックリスト一覧付き】葬儀後にすべき手続きを優先順位で解説

「親が亡くなった直後、何をして、どう動けばいいのか?」「葬儀後の手続き、どんなことを、いつまでにすればいいの?」「事務的な手続きのほかに、相続もある。何をしたらいい?」とお悩みではありませんか。

葬儀自体も大変ですが、葬儀の後には、公的なものから亡くなった方が生前契約していたサービスの解約など、さらに様々な手続きが必要になります。しかも、多くは期限が定められており、期日の早いものからひとつひとつ手続きを済ませていかなければなりません。何をいつまでにすべきなのか、手順を洗い出しておかないと、思いがけない出費が起きたり、受け取れるはずの給付金を受け取り損ねたり、税金の問題などで後々トラブルが起きたりします。

今回は葬儀後の手続きについて、実務的な手続きごとに分け、時系列順に詳しく説明します。

  • 目次
  • 1.【優先度順】葬儀後に必要な手続きチェックリスト
  • 2.【優先順・カテゴリ別】葬儀後に必要な手続き
  • 2-1.役所や公的機関に対する手続きと各期限
  • 2-2.保険に関する手続きと各期限
  • 2-3.年金に関する手続きと各期限
  • 2-4.相続に関する手続きと各期限
  • 2-5.公共料金・民間業者との契約解除手続きと期限(規則はないが速やかに=料金が発生し続けるため)
  • まとめ

1.【優先度順】葬儀後に必要な手続きチェックリスト

葬儀の後には多くの手続きが必要になります(故人の状況により異なる。約30項目~場合によっては50項目ほど)。以下は、葬儀の後に家族や相続人などが行う手続きを一覧表にしたものです。2章でさらに詳しくそれぞれのカテゴリごとに説明しますが、まずここでは優先度順に、必要な手続き必要について解説します。

<優先度>
A:2週間以内
B:1カ月~半年以内
C:半年~1年以内
D:1年~2年以内
E:2年~5年以内
F:期限はないができるだけ早く 

優先度カテゴリ期間目安項目手続きを行う人・書類を提出する人内容・備考記事参照先
A公的なもの死亡の事実を知った日から7日以内死亡届の提出同居の家族・相続人など・一般的には葬儀・火葬のため1~2日で届け出をすることが多い
・国外で死亡した場合は、親族・同居人がその事実を知った日から3カ月以内
2-1
A公的なもの原則として死亡届と同時に提出火葬・埋葬(埋火葬)許可申請書の提出同居の家族・相続人など埋葬又は火葬を行う者2-1
A公的なもの特になし(できるだけ早く)国民健康保険証の返却同居の家族・相続人など・死亡日の翌日付けで国民健康保険の資格は喪失となる
・世帯主が亡くなり、その保険に家族が加入していた場合は、家族全員の保険証を返却→世帯主を書き換え新しい健康保険証を発行
2-1
A公的なもの亡くなった日から14日以内住民票の除票申請同居の家族・相続人など住民票の抹消は死亡届提出で自動的に処理されるため申請不要2-1
A公的なもの亡くなった日から14日以内世帯主変更届新しい世帯主または同一世帯の人、その代理人(代理人には委任状が必要)次の場合は不要
・次の世帯主となる人が明確な場合
・死亡した人が世帯主でない場合
2-1
A相続所有者が変わってから15日以内車の名義変更同居の家族・相続人など「道路運送車両法」に、所有者が変わった場合には15日以内に手続きをしなければならないと定められている2-4
A相続死亡届を出した後(特に期限はない)金融機関への連絡同居の家族・相続人など・相続人から連絡があると口座は凍結される(死亡届とは連動していない)
・相続手続を行って、預金の払戻しを受ける(遺言がなく、相続人が複数いる場合、遺産分割協議が終わるまでは相続はできない)
2-4
A相続遺言者の死亡を知った後、遅滞なく(一般的には申し立てから1カ月程度後)遺言書の検認遺言書の保管者又はこれを発見した相続人「公正証書による遺言のほか,法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される「遺言書情報証明書」は,検認は不要」(引用)2-4
A年金国民年金:14日以内
厚生年金:10日以内
年金受給権者死亡届(受給停止手続き)同居の家族・相続人など未支給年金の請求、遺族給付の請求も行う2-3
A保険亡くなった日から14日以内介護保険資格喪失届介護保険対象者(65歳以上または40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていた人)の遺族・未納保険料がある場合:相続人に請求
・納めすぎの場合:相続人に対して還付
2-2
A保険3年(時効あり)
※できるだけ速やかに(債務完済のため)
団体信用生命保険金請求死亡保険金の受取人平成22年4月1日施行の改正保険法95条(消滅時効)2-2
B相続自分が相続人となった事実を知った時から3カ月以内相続の放棄相続人および包括受遺者民法第915条1項本文「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」2-4
B相続死亡日(相続の開始があったことを知った日)から4カ月以内所得税準確定申告相続人および包括受遺者基本的に相続人等全員で行う2-4
B保険死後1カ月以内雇用保険受給資格者証の返還同居の家族・相続人など受給手続きを行ったハローワークへ返納2-2
C相続被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内相続税の申告・納税相続人および包括受遺者相続人以外に対する遺贈があった場合の相続税申告期限は、自己のために当該遺贈のあったことを知った日の翌日から10ヶ月以内2-4
C保険葬祭を行った日から2年以内葬祭費の申請(国民健康保険加入者)葬祭を行った親族など国民健康保険の被保険者が死亡した場合、葬儀を行った人に対して葬祭費が助成される2-2
C保険死亡日の翌日から2年以内
※「埋葬費」の場合は埋葬日の翌日から2年以内
埋葬料請求(健康保険・協会けんぽ加入者)・被保険者に生計を維持されていた家族で、埋葬を行った者
・上記がいなければ、埋葬を行った人へ「埋葬費」として支給
国民健康保険以外の健康保険の被保険者、あるいは全国健康保険協会(協会けんぽ)の加入者が死亡した場合2-2
D公的なもの医療費支払いから2年以内高額医療費申請同居の家族・相続人など医療費控除の準確定申告が必要な場合がある2-1
D保険死後2年以内生命保険の請求手続き死亡保険金の受取人 2-2
E年金5年(時効あり)遺族基礎年金の受給手続き同居の家族・相続人など故人が国民年金加入者だった場合2-3
E年金5年(時効あり)遺族厚生年金の受給手続き同居の家族・相続人など故人が厚生年金保険、老齢厚生年金、障害厚生年金加入者だった場合2-3
E年金5年(時効あり)寡婦年金・死亡一時金の受給手続き死亡した人の妻・死亡した人が国民年金第1号被保険者、保険料納付済期間+保険料免除期間=10年以上
・上記条件の「夫」によって生計を維持+夫との婚姻関係が10年以上維持していている妻に対して60歳~65歳まで支給される
2-3
E年金死亡した日の翌日から5年恩給受給者の手続き同居の家族・相続人など総務省または厚生労働省へ届け出る
恩給相談専用電話、メールなどが設置されている
2-3
E保険亡くなってから5年以内労災保険の遺族補償給付請求同居の家族・相続人など 2-2
F公共料金規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)電気、水道、ガスの解約または名義変更と引き落とし口座の変更同居の家族など故人の口座が凍結された場合は払込票が届く2-5
F公共料金規則はないが速やかに(受信料が発生し続けるため)NHKの解約同居の家族など名義変更または解約2-5
F公的なもの期限なし(平成15年4月施行)児童扶養手当認定請求受給要件に適合する児童を扶養する一人親など以前は請求に5年の時効があったが現在は撤廃2-1
F公的なもの遅滞なく返納パスポートの返納家族など旅券法第19条2-1
F公的なもの返納義務はなくペナルティもない運転免許証の返納家族など道路交通法に「効力を失った免許証は返納しなければならない」とあるが、義務ではない。ただし、万が一の悪用を防ぐために返納したほうがよい2-1
F相続規則はないが速やかに(家賃が発生し続けるため)賃貸の契約の解除(中途解約の手続き)相続人借主が死亡しても、何もしなければ賃貸借契約は終了せず継続する。貸主は相続人に家賃などを請求できる2-4
F相続規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)NTT(電話加入権)の解約または承継相続人電話加入権は「権利」のため、相続の対象=相続税の申告の際には記載の必要あり(相続税評価額は全国一律1,500円)2-4
F相続規則はないが速やかに(相続税申告前)クレジットカードの解約相続人・未払い金については相続人が支払う
・ポイント等は相続できない
・故人のカードと、そのカードに付随していた家族カードは使えなくなる
2-4
F相続規則はないが速やかに(相続税申告前)株式等の有価証券の相続手続き相続人・証券会社へ連絡
・未受領配当金の請求は株主名簿管理人(おもに信託銀行)へ連絡
2-4
F相続規則はないが速やかに(相続税申告前)未受領配当金の請求手続き(株主名簿管理人の相続手続き)相続人株などの「配当金領収証」または「配当金送金依頼書」を相続手続き書類とともに株主名簿管理人(おもに信託銀行)に提出する2-4
F相続規則はないが速やかに(相続税申告前)百貨店の積立金解約手続き相続人積立残額は相続財産のため申告が必要(申告額は「解約したら返金される額」)2-4
F相続期限は無いができるだけ早く相続登記(相続不動産の名義変更)相続人および包括受遺者・期限やペナルティは、現在はないが、できるだけ早いことが望ましい(売却などができないため)
・将来的に義務化される流れとなっている
2-4
F相続遺産分割→物件の名義変更後火災保険の名義変更相続人・名義変更していなくても保険金が支払われないわけではないが、手続きに時間がかかる
・火災保険契約が銀行引落の月払いの場合、口座振替不能を放置すると契約が「不払い解除」となる
2-4
F保険規則はないが速やかに介護用品のレンタル契約の解除家族など介護保険を利用して介護用品をレンタルしている場合は地域の担当ケアマネージャーへ連絡する2-2
F民間業者との契約規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)各種会員証の解約同居の家族・相続人など 2-5
F民間業者との契約規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)新聞等定期購読しているものの解約相続人購読契約は相続人に引き継がれるため、相続人が中途解約の手続きを行う。名義変更も可能(販売店へ連絡)2-5
F民間業者との契約規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)インターネットの解約相続人契約は相続人に引き継がれるため、相続人が中途解約の手続きを行う。名義変更も可能
・回線とプロバイダ、両方の事業者へ連絡する
2-5
F民間業者との契約規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)携帯電話の解約家族など(キャリアにより異なる)連絡先や手続き方法、必要書類は各事業者により異なる2-5

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2.【優先順・カテゴリ別】葬儀後に必要な手続き

この章では、1章の一覧表を基に、それぞれの手続き項目を詳しく解説していきます。

2-1.役所や公的機関に対する手続きと各期限

年金や保険も公的機関ですが、ここではそれ以外の届出について説明しています。 

優先度カテゴリ期間目安項目手続きを行う人・書類を提出する人
A公的なもの死亡の事実を知った日から7日以内死亡届の提出同居の家族・相続人など
A公的なもの原則として死亡届と同時に提出火葬・埋葬(埋火葬)許可申請書の提出同居の家族・相続人など
A公的なもの特になし(できるだけ早く)国民健康保険証の返却同居の家族・相続人など
A公的なもの亡くなった日から14日以内住民票の除票申請同居の家族・相続人など
A公的なもの亡くなった日から14日以内世帯主変更届新しい世帯主または同一世帯の人、その代理人(代理人には委任状が必要)
D公的なもの医療費支払いから2年以内高額医療費申請同居の家族・相続人など
F公的なもの期限なし(平成15年4月施行)児童扶養手当認定請求受給要件に適合する児童を扶養する一人親など
F公的なもの遅滞なく返納パスポートの返納家族など
F公的なもの返納義務はなくペナルティもない運転免許証の返納家族など

(1)死亡届の提出:死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合はその事実を家族などが知った日から3カ月以内) 

死亡届の届出人(届出義務者。親族のほか、同居者、家主、地主、後見人なども含まれる。届け自体は代理人でも可能なため葬祭会社が行うことも多い)は、死亡の事実を知った日から7日以内に、「死亡者の本籍地」または「届出人の住所登録地」、「故人が死亡した地」の役所の戸籍係へ提出します(戸籍法第86条1項、87条)。

(2) 火葬・埋葬(埋火葬)許可申請書の提出:死亡届と同時に
原則として死亡届と同時に役所に提出します。手続きは「埋葬又は火葬を行う者」となっており、葬祭会社が代行することも多くなっています。

(3)国民健康保険証の返却:できるだけ早く
死亡日の翌日付で、個人の国民健康保険は資格喪失となります。また故人が世帯主であり、故人の保険に家族が加入していた場合は、家族全員の保険証を返却したうえで世帯主を書き換え、新しい健康保険証を発行してもらう必要があります。期限が特に定められてはいませんが、できるだけ早く手続きを行いましょう。

(4)住民票の除票申請:亡くなった日から14日以内
死亡した人の居住地の役所で住民票の除票申請を行います。なお、住民票の抹消は死亡届が受理されると自動的に処理されるため手続きは不要です。

(5)世帯主変更届:亡くなった日から14日以内
次の世帯主が明確である場合(例えば世帯主が亡くなり、遺されたのが妻と15歳未満の子供である場合など)、また死亡した人が世帯主でない場合は提出の必要はありません。

(6)高額医療費申請:医療費支払いから2年以内
故人が高額療養費受給者であった場合、死亡した後であっても、高額医療費申請は可能です。診療を受けた月から2カ月後に居住地の保険年金課から、高額療養費支給申請書が届きます。なお、医療費控除の準確定申告が必要な場合があります。期限は2年以内とされていますが、できるだけ早く行いましょう。

(7)児童扶養手当認定請求:無期限
保護者の離婚や死亡などの理由により、受給要件を満たす児童を扶養する一人親などへ支払われるのが児童扶養手当です。以前は請求に5年の時効がありましたが、現在は撤廃されています。しかしこれもできるかぎり早く申請した方がよいでしょう。

(8)パスポートの返納:遅滞なく返納
故人のパスポートは返納手続きが必要になります(参考:旅券法第19条の二)。故人の形見として遺族が持っておきたいなどの場合は一度返納し、無効化の手続きを行います。返納などをせず放置していた場合、悪用される可能性もあるため速やかに手続きを行いましょう。

(9)運転免許証の返納:返納義務なし・ペナルティなし
故人の運転免許証に関しては、道路交通法に「効力を失った免許証は返納しなければならない」とあるものの、義務ではありません。ただし、パスポートと同様、万が一の悪用を防ぐためには返納したほうが安心といえます。

2-2.保険に関する手続きと各期限

「埋葬費」「葬祭費」などが支給される場合もあるため、故人の保険関係を確認してください。 

優先度カテゴリ期間目安項目手続きを行う人・書類を提出する人
A保険亡くなった日から14日以内介護保険資格喪失届介護保険対象者(65歳以上、または40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていた人)の遺族
A保険3年(時効あり)
※できるだけ速やかに(債務完済のため)
団体信用生命保険金請求死亡保険金の受取人
B保険死後1カ月以内雇用保険受給資格者証の返還同居の家族・相続人など
C保険葬祭を行った日から2年以内葬祭費の申請(国民健康保険加入者)葬祭を行った親族など
C保険死亡日の翌日から2年以内
※「埋葬費」の場合は埋葬日の翌日から2年以内
埋葬料請求(健康保険・協会けんぽ加入者)・被保険者に生計を維持されていた家族で、埋葬を行った者
・上記がいなければ、埋葬を行った人へ「埋葬費」として支給
D保険死後2年以内生命保険の請求手続き死亡保険金の受取人
E保険亡くなってから5年以内労災保険の遺族補償給付請求同居の家族・相続人など
F保険規則はないが速やかに介護用品のレンタル契約の解除家族など

(1)介護保険資格喪失届:亡くなった日から14日以内
未納保険料がある場合は相続人に請求されます。逆に納めすぎの場合、相続人に対して還付が行われます。

(2)団体信用生命保険金請求:3年以内、ただしできるだけ速やかに
平成22年4月1日施行の改正保険法95条(消滅時効)により、以下のように規定されています。

「保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、3年間行わないときは、時効によって消滅する。」

団信は不動産の持ち主に万が一のことがあった場合、住宅ローンの残債を補填してもらえる保険です。そのため、この手続きを行わないと住宅ローンの債務完済が進まない場合があります。時効は3年となっていますが、できるだけ速やかに行ったほうがよいといえます。

(3)雇用保険受給資格者証の返還:死後1カ月以内
受給手続きを行ったハローワークへ返納します。

(4)葬祭費の申請(国民健康保険加入者):葬祭を行った日から2年以内
国民健康保険の被保険者が死亡した場合、葬儀を行った人に対して葬祭費が助成されます。

(5)埋葬料請求(国民健康保険以外の健康保険、協会けんぽの加入者):死亡の翌日から2年以内
国民健康保険以外の健康保険、または全国健康保険協会の加入者が死亡した場合、被保険者に生計を維持されていた家族で埋葬を行った者へ埋葬料が支払われます。

(6)生命保険の請求手続き:死後2年以内
故人が生命保険に加入していた場合、死亡保険金が支払われます。

(7)労災保険の遺族補償給付請求:亡くなってから5年以内
業務または通勤が原因で亡くなった遺族に、給付金が支払われます。

【参考】厚生労働省「遺族(補償)年金」(PDF)

(8)介護用品のレンタル契約の解除:規則はないが速やかに
故人の一般的なレンタル契約品は都度解除しますが、特に介護用品のレンタル契約をしている場合は、介護保険が使われていることがほとんどです。地域の担当ケアマネージャーに連絡し解約の手続きを行います。

2-3.年金に関する手続きと各期限

優先度カテゴリ期間目安項目手続きを行う人・書類を提出する人
A年金国民年金:14日以内
厚生年金:10日以内
年金受給権者死亡届(受給停止手続き)同居の家族・相続人など
E年金5年(時効あり)遺族基礎年金の受給手続き同居の家族・相続人など
E年金5年(時効あり)遺族厚生年金の受給手続き同居の家族・相続人など
E年金5年(時効あり)寡婦年金・死亡一時金の受給手続き死亡した人の妻
E年金死亡した日の翌日から5年恩給受給者の手続き同居の家族・相続人など

(1)年金受給権者死亡届:国民年金受給者は14日以内、厚生年金受給者は10日以内
年金受給者が亡くなった場合、「年金受給権者死亡届(報告書)」を市区町村役場に提出します。死亡届とは別に手続きが必要です。

(2)遺族基礎年金の受給手続き:5年以内
(3)遺族厚生年金の受給手続き:5年以内

それぞれ、故人が国民年金受給者、厚生年金受給者だった場合に遺族に支払われる年金です。

(4)寡婦年金・死亡一時金の受給手続き:5年以内
亡くなった人が国民年金第1号被保険者だった場合の独自の給付制度になります。

・死亡した人が国民年金第1号被保険者であり、保険料納付済期間+保険料免除期間=10年以上である
・上記条件の「夫」によって生計を維持し、かつ、夫との婚姻関係が10年以上維持していている

上記条件を満たす妻に対して、60歳~65歳まで支給されます。

(5)恩給受給者の手続き:死亡した日の翌日から5年
恩給の対象となる公務員とは、「旧共済制度発足前に退職した公務員及びその遺族」のため、「現職者に恩給の対象者は存在しない」とされています。恩給専用の電話やメールが設置されているため、該当者はそちらに問い合わせることになります。

【参考】総務省「恩給制度の概要

2-4.相続に関する手続きと各期限

優先度カテゴリ期間目安項目手続きを行う人・書類を提出する人
A(1)所有者が変わってから15日以内車の名義変更同居の家族・相続人など
A(2)死亡届を出した後(特に期限はない)金融機関への連絡同居の家族・相続人など
A(3)遺言者の死亡を知った後、遅滞なく(一般的には申し立てから1カ月程度後)遺言書の検認遺言書の保管者又はこれを発見した相続人
B(4)自分が相続人となった事実を知った時から3カ月以内相続の放棄相続人および包括受遺者
B(5)死亡日(相続の開始があったことを知った日)から4カ月以内所得税準確定申告相続人および包括受遺者
C(6)被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内相続税の申告・納税相続人および包括受遺者
F(7)規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)NTT(電話加入権)の解約または承継相続人
F(8)規則はないが速やかに(相続税申告前)クレジットカードの解約相続人
F(9)規則はないが速やかに(相続税申告前)株式等の有価証券の相続手続き相続人
F(10)規則はないが速やかに(相続税申告前)未受領配当金の請求手続き(株主名簿管理人の相続手続き)相続人
F(11)規則はないが速やかに(相続税申告前)百貨店の積立金解約手続き相続人
F(12)期限は無いができるだけ早く相続登記(相続不動産の名義変更)相続人および包括受遺者
F(13)遺産分割→物件の名義変更後火災保険の名義変更相続人

(1)車の名義変更:所有者が変わってから15日以内
・「道路運送車両法」で「所有者が変わった場合は15日以内に手続きを行う」と定められている
・相続による名義変更をしておかないと車検を通せない
・相続人が相続自動車を自宅で使用する場合、新たに車庫証明を得る必要がある(名義変更していないと車庫証明が取得できない)

以上から、速やかに変更手続きが必要です。なお、自動車の名義変更は、司法書士ではなく行政書士に依頼します。

(2)金融機関への連絡:死亡届を出した後(特に期限はない)
相続人が死亡の連絡を金融機関に行うと、故人の銀行口座が凍結されます。役所に提出する死亡届とは連動していないため、死亡届を出してすぐに口座が凍結されることはありません。

銀行口座が凍結されると当然現金が引き出せなくなるため、相続手続を行って、預金の払戻しを受けることになり、かなり手間がかかります。そのため凍結の前にあらかじめ必要なお金を準備しておく必要があります。

故人の口座が凍結された後、どうしても当面の金銭が不足する場合は、「預貯金の仮払い制度」を利用することもできます。

(3)遺言書の検認:遺言者の死亡を知った後、遅滞なく(一般的には申し立てから1カ月程度後)
遺言書の検認とは、家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人たちが「遺言書が確かにありましたよ」ということを確認してもらうことをいいます。遺言書の検認は必ず行わなければならないわけではありません。

(4)相続の放棄:自分が相続人となった事実を知った時から3カ月以内
相続放棄は「相続の事実を知ってから」3カ月以内になります。そのため、被相続人が亡くなったことを知らなかった場合は、知った時点が起算日になります。

(5)所得税準確定申告 :死亡日(相続の開始があったことを知った日)から4カ月以内
(6)相続税の申告・納税:被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内

所得税の準確定申告は、故人が生きていれば手続きしたと思われる確定申告を死亡後に相続人が行うものです。ここに医療費控除なども含まれます。

相続税の申告は、故人が亡くなって期間が過ぎてからの最も重要な手続きになります。10カ月と余裕があるように感じますが、実際は様々な手続きに忙殺されているうちに10カ月経ってしまっていたということも少なくありません。できるだけ無駄なく、相続に関する手続きや書類の準備は進めておきましょう。相続の専門家の提案を受けたり相談したりするのもよい方法です。 

>>相続の専門家に相談する

(7)~(13)その他、規則はないができるだけ早く手続きするもの
詳しくは記事冒頭の一覧表の内容を確認してください。

相続財産の中には金銭や不動産だけではなく、株はもちろん、株の配当金、クレジットカードの支払い、また百貨店の商品券の積立なども含まれます。そのなかにはプラスの資産だけでなくマイナスの資産もあります。それぞれできるだけ速やかに内容を精査して、(相続税が発生するならその前にすべて)手続きを済ませましょう。

また、火災保険の名義変更など、万が一の事態の補償となるものは期限に関わらず、できるだけ早く名義変更を行ってください。

2-5.公共料金・民間業者との契約解除手続きと期限(規則はないが速やかに=料金が発生し続けるため)

故人が契約していた公共料金、その他民間業者のサービスについても解約が必要になります。 

F公共料金規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)電気、水道、ガスの解約または名義変更と引き落とし口座の変更同居の家族など
F公共料金規則はないが速やかに(受信料が発生し続けるため)NHKの解約同居の家族など
F民間業者との契約規則はないが速やかに(家賃が発生し続けるため)賃貸の契約の解除(中途解約の手続き)相続人
F民間業者との契約規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)各種会員証の解約同居の家族・相続人など
F民間業者との契約規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)新聞等定期購読しているものの解約相続人
F民間業者との契約規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)インターネットの解約相続人
F民間業者との契約規則はないが速やかに(料金が発生し続けるため)携帯電話の解約家族など(キャリアにより異なる)

どれも期限は定められていませんが、解約手続きを行わない場合は料金が発生し続けることが共通しています。引き続き自宅でそのサービスを使う場合は、故人から新しい契約者へと契約内容の承継が必要になります。

故人の銀行口座から引き落とされていた場合は、払込票が故人の住所宛に届くのでそちらで支払えば、特に問題になりませんが、速やかに解約するか承継するか決定し、手続きを済ませましょう。

なお、NTT加入権は相続の欄に入れていますが、基本的に行う手続きは同じです。ただしNTT加入権は相続される「権利」として相続税の申告の際に記載が必要になり、全国一律で1,500円となっています。 

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まとめ:葬儀後の手続きは煩雑。専門家やサービスも積極的に活用を

この記事では葬儀後の手続きについて、優先度順に、カテゴリを分けて説明しました。

葬儀の後はさまざまな実務があり、また身近な人を亡くした悲しみで何をすべきか考える余裕もないかもしれません。だからこそ、実際にそのような事態になる前に、「葬儀の後に何をすべきか」「相続などはどんな手続きがあるのか」を把握しておいてください。

また、実際の手続きをすべて自分で行おうとすると大変繁雑になります。相続や葬儀に関する専門家の提案を受けたり、相談したりと、既存のサービスもうまく利用して、気持ちよく故人を送り出せるようにしておきましょう。